この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
文句言いっこなしの三重奏
第7章 和音
ふと、窓の外を見れば
(あ、崇臣のやつ…外してる)
体育でサッカーをやっている崇臣のクラス。一応シュートとして放たれたそのボールは、ゴールポストを大きく越えていった。
(ふーん、シュートか…珍しいな…)
弓道での個人競技スタイルに慣れたせいか、僕らは割とチーム戦が苦手だったりする。…いや、正しくは、苦手なのは僕だけか。
僕は昔から、周囲に気を配るのが下手で。だから自然と、当たり障りのない守備へ回ることが多いんだけど。対する崇臣は、周囲の状況を読むのも、溶け込むことも得意で…だからこそ、自発的に守備につくんだ。
(もとの性格的にも、攻める体質じゃないんだよな。僕も崇臣も…)
まあ要は…アタッカーとして前に出るなんてこと、僕も崇臣も好き好んではやらないってことで。今のシュートは、なかなか面白いものを見た気分…
『英、その目線の先には何がある?』
『はい、趣きがあります。』
『そうか、後で職員室に来なさい。』
『はい…』
今言えることは一つ。
僕は、古典はキライだな。