この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
文句言いっこなしの三重奏
第7章 和音
『…何を…してる…』
震えぎみの声は、全く弱々しく。ノイズに掻き消され、崇臣に届かない。
『…っ…何してるって聞いてんだ!!』
『別に?』
キュッと閉じた金属音。僕の、崇臣の、声。
それらは全て、ほぼ同時だった。
『お前、まだこんなこと…何で…っ?!』
『…別に。勃ったから?』
鏡の中の男は、ひどく冷めた口調で言う。
僕の言葉なんか、寄せつけない目をして。
『先に盛って来たのは向こうだ。キスしたら勃ったし…断る理由がねーだろ。』
手元の水を切り、背を向けたら
『待て!お前は…』
『いいだろ、別に。自分は昨日、十分楽しんだんだから。おれだって…発散したかったんだよ。』
肩越しに、皮肉な口元を作って。
崇臣は行ってしまった。