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文句言いっこなしの三重奏
第7章 和音


(あいつ…!)


追いかけはしなかった。
正直ああなると、もう手がつけられないからだ。崇臣はいつからか…時々、壁を作るようになった。こちらの話を一切聞き入れない、何を言っても響かない。そういう目をする…


(まだ、やってたなんて…)


ほのり以外の女子と、体の関係を持つこと。いわゆる遊びを、あいつは平気でする節がある。今に始まったことじゃないが…本命のほのりにはひた隠しにしているし、僕にだって本来はバレないよう目を盗んでいる。ただ、たまに知ってしまうことがあって、するとさっきみたいな言い合いに発展する。今まで何度衝突してきたか分からないけど…どうしてもこれだけは、解り合えてこなかった。


僕らが初めてセックスをしたのは、中学の頃。もちろん僕の初体験はほのりで、ほのりの初体験は崇臣になった。でも崇臣は、ほのりを抱いた時点で童貞ではなかった。


(時々、ひどく分からない…
何がしたいんだよ、崇臣…)


詳しいことは知らないが、昔からモテてた。崇臣のことはもう、その一言に尽きるのかも知れない。


『…お、英。』

『え…あ、先輩…』


そんな考え事をしながら、二階への階段を登りきった矢先。ちょうど同じタイミングで、上から降りてきた上級生達と出くわした。中には、部の主将である岡田先輩の姿がある。



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