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文句言いっこなしの三重奏
第7章 和音
『ブー、はずれ。正解は、大前でした。』
『───はああぁぁ?!?!』
ありえない発言に、思わず絶叫した。
急に廊下を賑わせた声は、いたずらに辺りの視線を集めてしまい。僕は慌てて口を塞ぎ俯いた。
『アハハ!いーなその反応!!』
そんな僕とは対照的に。周りを気にせず、腹の底からどデカく笑った先輩は、愉快そうに片手を挙げた。
『そーやってさ、無理にでもプレッシャー与えてやりゃあ…お前も少しは、度胸がつくんじゃねぇかって思ったんだよ!』
振り下ろされた平手が、僕の背中に落ちて。瞬間、トンとした振動が体を駆け抜ける。
叩かれたんじゃなく、添えられたんじゃなく。強くも弱くもない力加減のそれは、まるで、何かの励ましのようで。トンときて、スッと気持ちが軽くなる…みたいな。
上手く言い表せられないけど…確かに、体に何か“力”のようなものが送り込まれた気がしたんだ。