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文句言いっこなしの三重奏
第7章 和音


『はぁ。それ…どういう意味ですか?』

『ハハ、どういう意味だと思う?』

『…………』

『ま、あれだ。これまで通り、英は英らしく、弓道に向き合えばいいと思うよ。その真面目な性格活かしてさ。そうすりゃ結果も、自ずとついてくるって。』


今のは、ふざけたりテキトーにものを言ってる感じには聞こえない。たぶん純粋なエールのつもりだろうけど…


『でも…これまで通りじゃ、僕の不調は改善しないと思いますけど…』


向いてるだとか、才能があるとか。
そう言われはしても、急に自信が持てる訳じゃない。


『ああ、そういや美織が言ってたぞ。昨日、練習後に射形を見たら…お前ちゃんと、いつも通り引けてたって。』

『え。』

『あれなら今日は、おそらく大丈夫。ちゃんとした練習になるだろうから、心配ないって。…あの美織が言ったんだ、少しは自信つくだろ?』


原先輩が…
確かに、お世辞なんか言わない原先輩の言葉なら、多少心強くもなるけど…


『ついでに言っとくと…昨日の出来がイマイチだった分、今日の練習はハードメニュー組んでおくわ。だ、そうだぞ…』

『ええっ?!』

『アハハ!ヤバいぞ俺ら、今日は生きて道場出られねぇかもなぁ〜!』


青ざめる僕と、囃し立てる岡田先輩と。気づくと辺りは、人影もまばらになっていて。残った僕らの頭上で、ちょうど予鈴が鳴り出した。




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