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文句言いっこなしの三重奏
第9章 休符
『ちょっとぉ〜何なのその言い方。ミキちゃんが可哀想でしょ?!』
『…そう言われても、分からないし。僕じゃ答えられないから。』
知るか、崇臣の女の趣味なんか。
ほのりを想ってるくせに…さっきも、別の子と。それは必ずしも、ほのりと同じようなタイプとは限らない。むしろ僕の知る限り…あいつが手を出すのは、ほのりとは似ても似つかない子だ。正に、誰かれ構わず。あんないい加減な奴の思考…僕が解るもんかよ。
『ぐすん…いいの、みんな。』
『もう、英サイテー!なに女子泣かしてんのよ。』
『ごめん、森脇さん。…確かに言い方が良くなかったよ。悪かった。』
何で泣くのか、意味も分からないが。とにかく穏便に済ませて、この場を去ろうと思った。中田の奴…帰ってくるの遅すぎだし。逃げたな。
『じゃあ僕、行くから…』
『待って英くん!あの、あのね…っ!鵜川くんとデートっ…させてもらえませんか?!』
顔を上げ、縋るように見てきた森脇の顔は…全然、泣き顔なんかではなかった。