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文句言いっこなしの三重奏
第9章 休符
***
『勇、ちょっと。』
翌日、昼前の休み時間。隣クラスの崇臣から、呼び出しを受けた。今日はほのりは学校に来ていて、見た感じ、いつもと変わらず元気そうに過ごしている。昨日や、それまでの欠席の理由については、未だ分かっていない。
『おーい崇、どこまで行く気だよ?何?人に聞かれたくない大事な話って。』
ひと気を避けた廊下の一角。
呼び出すなり、ずっと無言で前を歩いていた崇臣が、ようやく立ち止まった。こちらを振り向くや、何やら神妙な顔つきで口を開く。
『…分かったぞ、ほのの欠席の原因。』
『えっ!!ほんとか?!』
派手に響き渡った声に、崇臣がシッと指を立て。僕は慌てて口をつぐんだ。改めて、辺りに人がいないことを確認し合い、早速本題に入る。
『勇のクラスに、佐伯って女がいるだろ。そいつのグループから、嫌がらせを受けてるらしい。』
『えっ……え?嫌がらせ…?』
『うん。ほのと、クラスで一番仲の良い女子がいるだろ?その子と友達だっていうウチのクラスの女子に、聞き出してもらったんだ。』
僕とほのりのクラスメイトである、佐伯という女子。彼女はとにかく気の強い性格で、かなりの仕切りたがり屋。何かにつけあれやこれやと指示を出すのだが、それが常に命令口調で、みんなからの心象は悪い。僕らのクラスでは堂々の、苦手な女子No. 1だ。