この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
文句言いっこなしの三重奏
第10章 クレッシェンド
『それにほのは、言わなかったんじゃない… 』
『…え?』
『言えなかったんだ。相談したくてもできなくて…ずっと一人で悩んで。苦しかったんじゃないかな…』
『………!』
『今まで黙ってたのは、おれらに迷惑かけたくないって……きっと、そう思ってたんだよ…』
『…………』
『な、勇も分かるだろ…?そういうの…分かってあげてよ…』
自分まで苦しげに顔を歪ませた崇臣に、息が詰まった。喉の奥で、まだ納得し切れない僕の拙さがつかえて、息苦しくて堪らなかった。
きっとそうなんだろう。正しい。きっと全部、崇臣が正しいんだ。頭では分かる…っ…でも…だけど…!
───じゃあ、この悔しさは一体どこに向ければいいんだよ!!