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文句言いっこなしの三重奏
第10章 クレッシェンド
これ以上言い合ったって、いいことにはならない。それに僕だって、ほのりを責めたいわけじゃない。叫びたいような暴れたいような、自分でもよく分からない感情を無理矢理押さえ込み。無言で肩の手を振り払った。
『……もう当たるなよ。』
分かってくれたならそれでいい、みたいな言い方をした崇臣は息をつき、ほのりへと目をやった。僕もつられ、改めてほのりを見る。力なく俯くその姿は、やっぱりとても不憫だった。
…ごめん、ほのり。ほのりに当たるつもりはなかったんだ。ただ、悔しくて…何もしてやれなかった自分に腹が立って、許せなくて…。