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文句言いっこなしの三重奏
第10章 クレッシェンド
『ああ、まぁ…そうだな。』
やっと立ち上がった崇臣を急かすように、僕はほのりの手を引き先に神社を出た。振り返り、一応、元木ユミコに別れの挨拶をしようと思った。
『じゃあ元木さん、遅くまでありがとう。気をつけてな。』
『ユミコちゃん、迷惑かけて本当にごめんね…でも、いつもありがとう…本当にありがとう…』
『謝ることなんて何もないよ!ほのりちゃん、また明日ね。英くんも、また明日。』
明るい元木ユミコの笑顔に、ほのりは幾分元気づけられた感じだった。そうやってお互いに手を振り合っていると、ようやく崇臣も
『それじゃあな。』
と片手を挙げたが、なぜか僕らに背を向けた。
『は?おい、お前どこ行く…』
『元木さんを送って行くよ。勇達は先に帰っててくれ。』
『──はあ?!』
『え、ぇえええっ?!』
驚いたのはむしろ、元木ユミコの方だったらしい。