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文句言いっこなしの三重奏
第10章 クレッシェンド
『ああの鵜川くんっ?!そんな気を遣わないで…ほんとッほんとに私の家、すぐそこだから…!』
両手も頭もブンブン振って、元木ユミコは全力で遠慮していた。が、
『ほのの大事な友達だから。手の傷は治せないけど…これくらいさせてもらってもいいかな。』
…出た。これをくらって押し黙らない女子はいないってゆー…必殺、崇臣の爽やかな微笑み攻撃。もちろん元木ユミコだって例外じゃない。さらには『この道、人気もないし街灯も少ないんだね。』と付け加えられると、もはや誰も反論できなくなった。
『じゃ、じゃあ!僕らも行くよ!三人で元木さんを送って、それから一緒に…』
『はぁ?何言ってんだ。こんな暗くて狭い道、全員でぞろぞろ歩くとか逆に危ねーだろ。車だって通るのに。つーか勇、もしかして…おれがいないと夜道が怖いとか、そーいうことか?』
『…は、はあ?!そんなんじゃねーよ!』
『なら早くほのを送ってやれ。…ほら、かなり疲れてるだろ。』
最後の方は小声で、僕だけに聞こえるように。
ほのりのことを言っているのは、目線で分かった。