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文句言いっこなしの三重奏
第10章 クレッシェンド
『…勇くん?行かないの?』
何でそんな風に思うのか、自分でもよく分からない。でもどうしても引っかかって、その場から動けなくなった。ほのりへの返事も忘れて。ただ、背中だけを。どんどん遠ざかるあいつの背中だけを眺めていた。
…行ってしまう。
崇臣が僕らを置いて、何処か遠くへ。
僕らの知らない所へ、一人だけで。
崇臣、もしかしてお前……
僕らを捨てて行こうとしてるのか……?
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