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文句言いっこなしの三重奏
第10章 クレッシェンド
翌日、僕達のクラスでは席替えが行われた。
以前から予告があったわけではなく、サプライズ的な先生の提案にクラス中が沸き立った。視力の悪い生徒以外は皆くじを引き、なんと偶然にも僕とほのりは隣の席となった。
『わぁ…勇くんがお隣さん?』
『ああ、よろしくな。』
『隣は勇くんで、後ろはユミコちゃんなんて!この席最高〜♡』
小学校の席は、隣同士が机をピッタリくっつけるのが習慣で、僕達もそうした。そして、ほのりのすぐ後ろの席には元木ユミコが座った。運のいいことに、佐伯とはかなり離れた配置となった。
この席替えは一つの転機となり、ほのりはあれから休まずに登校できるようになった。休み時間はなるべく僕も席にいるようにして、元木ユミコと三人で過ごすよう心掛けていたし。たまに不安そうな顔をしているなと感じたら、授業中であれ、机の下でこっそり手を繋いだりもした。するとほのりは笑顔になった。
佐伯の呼び出しも、家の用があるとか、僕らと約束があるなど理由をつけて、何とか避けて過ごせるようになっていた。