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文句言いっこなしの三重奏
第10章 クレッシェンド

***

高2、昼休み─────


『ちょっと英、聞いてるの?』

『…え?あ、ああ。』


森脇を囲んだ女子達が、不機嫌そうに睨んでくる。
ああ、確か…訳の分からない話に巻き込まれてたんだっけ。


『英、余裕だね。こんな時に考え事なんて。』
『ホント、マジで。どうなってもいいの?鵜川くんに毎日媚び売ってる、あの弁当女のこと。』
『はぁ…あんた分かってんの?ミキちゃん泣かせて、ゴメンナサイで済むわけないでしょ。誠意を見せなさいよね、それなりの誠意ってやつを!』


黙って俯くだけの森脇以外、みな口々に喚いた。元は、森脇と崇臣の仲を取り持って欲しいという女子側の要望を、僕が断ったって話。ただ、それだけのことなのに。




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