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文句言いっこなしの三重奏
第2章 アンサンブル


『崇臣、ルールはちゃんと守れよ。そういうのはあくまでも、“三人一緒の時”だけだ。』

『フン…ちゃんと条件は満たしてるだろ。今さらキスくらいで妬くとか、女々しすぎんじゃねーの?大体こんなの…いつまで続ける気なんだよ?』

『…うるさい。』


痛いところを突かれて、ほのりを掴む手に力がこもる。一刻も早く、この場から立ち去ろうと踵を返せば


『…それはそうと、ほのり!』


まだ行かさないとばかりに、呼び止める声。


『さっきさ、勇祐にだけ「好き」とか言ってたけど。おれのことは…どうなのかな?』


あいつ…
たぶん、余裕の表情でもしてるんだろう。声が笑ってる。そんな崇臣に、ほのりは振り返り…


『もちろん、崇くんも好きだよぉ!』


当然のように答えた。満面の笑みで。
僕の大好きな…花が咲いたみたいな、明るくて愛らしいその笑顔。誰の心にも朗らかに響くような、愛嬌たっぷりのその声で……わざわざ聞かされた台詞に、なお腹が立つ。


『あはは…だってよ、勇祐。
じゃあ二人とも、放課後にな!』


勝ち誇ったような顔してるのは、見なくたって分かる。もう十分だ。意地でも振り向くもんかと決めた僕は、ただ、無言でほのりを引っ張って行った。



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