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文句言いっこなしの三重奏
第12章 ソナチネ
『えっと…ごめん。』
『え?』
『帰りは他の子を誘って?こっち方面の男の子、何人かいるでしょ?』
『え、何で…』
『お、女の子同士っ…ユミコちゃんと帰るの、やめたくないから…!』
珍しく声を荒げて、ほのりは小走りで進み出した。
『え、ちょ…ほの!』
『じゃあ、また明日ね!』
最後には、走って行ってしまった。
『ハァ?!なんだよ、あれ…』
意味が分からない。
まさか下校を断られるとは思いもしなかった。
目の前に立ちはだかった、男女の壁。
それがようやく、こんなに大きく僕らを隔てていたことに気づき、悲しくなった。
ほのりを守りたい思いも。ほのりの近くにいたい気持ちも。今の僕には許されないのかと、どこにもぶつけようのない不満が胸に立ちこめた。