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文句言いっこなしの三重奏
第12章 ソナチネ
『おはよう、勇くん。』
『……ん。』
次の日から、ほのりとは上手く話が出来なくなった。
『勇くん、昨日の宿題やってきた?』
『……ん。』
『あたし、どうしても分からない所があって…だからね、学校着いたら教えてもらってもいい?』
『………』
『…ねぇ、勇くん?』
『…ほの、二列になると危ないから。学校着くまで黙ってよう?』
『え?あ、うん…そうだね。ごめんね…』
いつもは、学校着くまでお喋りしない、なんて我慢できなかった。一列で登校しなきゃいけないのに、ついつい話に夢中になって。二列や三列になっては、班長から注意されていたのに。だけどこの日は、何を喋ったらいいか全く分からなかった。