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文句言いっこなしの三重奏
第2章 アンサンブル


あれはまだ、
僕達がただの幼馴染だった、中2の夏…


「先に手に入れた方が、勝ちな。」


部活終わりの帰り道。三人で、河川敷の見える土手を歩いていた時のこと。
急に、なんの脈絡もなくそんなことを言い出したのは、崇臣だった。


「…はあ?何の話だ?」


中学はチャリ通学だったけど、その日は話があるからと、崇臣の提案でチャリを押しながらの帰宅だった。言った側から崇臣は立ち止まり、端にチャリを停める。何でかそれに倣って、ほのりも停める。前方の二人がそうするから、僕もつられて足を止めた。


「分かるだろ。つか、分かれよ。」


スタンドのロックまでかけて、二人が完全に振り向いてくる。何、一体どうした?って、聞けないくらい二人の雰囲気が異質で、僕は思わず後ずさりをした。崇臣、目がこわいし、ほのりまで真顔だ。


「…だから、何だよ?」


睨むなよ。
そんな言葉足らずで、話が通じる訳ないだろ?!全く…分かるだろ、とか言われても。こっちは皆目、見当もつかないよ。














…というのは、建前で。


本当は何となく、察しがついた。うまく説明できないけど…幼馴染の勘てやつか。


つまりは、
ほのりのことを言っているんだって。
分かってしまった。



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