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文句言いっこなしの三重奏
第12章 ソナチネ
『おい、やめろッ!!』
体より先に声が出た。
腹の底から出た、どでかい声が。
『ほの!!!ほのだろ?!大丈夫か?!』
地べたに疼くまっていたのは、ほのり。
両手で頭を抱え込んでいたから、顔こそ見えなかったものの。側に落ちていた、いつもの手提げカバンで分かった。
『このやろっ…ほのに何すんだ!』
『きゃあ!痛…っ!!』
赤いランドセルの後ろ姿──木の棒みたいなのを振り上げていたその女を、後ろから突き飛ばした。誰かも分からずだったが…
『お、お前…』
顔を見て愕然とした。