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文句言いっこなしの三重奏
第12章 ソナチネ
僕は全然だ。
ほのりを守るなんて大層なこと…今の僕には全然、できっこない。
『最近ちゃんと喋ってなくてゴメンな。何か…ほのに嫌われたような気がして、うまく話せなかった。』
『えっ…あたしが勇くんを?!そんなっ!全然嫌ってなんかないよ、なんで?!』
『うん、僕の勘違い…っていうか、たぶん拗ねてたんだ。この間、一緒に帰ろうって言った時、女友達を優先するみたいに言われて…それがちょっと、ショックだったから。』
変な意地を張ってた自分が恥ずかしい。
そんなことする前に、もっとほのりのことを考えてやれば良かった。
『ごめんなさい。勇くんを傷つけちゃって…』
『…謝んなくていいよ。こんなのへっちゃら!ほのの痛みに比べたら、全然痛くも何ともないよ!』
ほのりは…いつも笑ってた。
辛いことがあったのに、僕らに黙って…
笑顔の裏で一生懸命、戦っていたんだね。