この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
文句言いっこなしの三重奏
第12章 ソナチネ
『えへへ…じゃああたしも、へっちゃら!』
『え?』
『だってね、勇くんに助けてもらったから。それにまた仲良しに戻れたから。だから、へっちゃらだよ!』
それは久々にちゃんと見た、
ほのりの花のような笑顔だった。
『ハハ……そっか。』
『うん!うふふ…』
僕は心底、その笑顔が好きだと思った。
『…そろそろ帰ろっか。』
『うんっ!』
街灯の照らす、アスファルトの帰り道。
繋いだ小さな手と、少し元気になったほのりの笑い声を隣に聞きながら、
僕は変わりたいと思った。
『ねぇ、すごく遅くなっちゃったね。お母さんに何て言い訳しよっかなぁ?』
この大切な女の子を、
ちゃんと大切にできる人になりたい。