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文句言いっこなしの三重奏
第12章 ソナチネ
『そうだね…あ、ちょっと待って。ほの、スカートに何かついてる…』
『え…?』
ちょうど次の街灯が近くなった時、ほのりの制服に草が付いているのが見えた。すぐ捨てようと思って取ったそれを見て、ふと思いつく。
『四つ葉…』
『え?』
『お母さんへの言い訳。四つ葉のクローバーを探してたって言おう?二人とも泥んこだし、それならバレないよ。』
ほのりのスカートに付いていたのは、三つ葉のクローバーだった。それを見せるや、ほのりの頬も自然と綻んでいく。
『ふふ、それいいね。名案だと思う!』
『だろ?
僕が泣きベソかいたことも、内緒だからな。』
三つ葉を手にしたほのりは笑顔で応え、それを街灯にかざし目を細めた。