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文句言いっこなしの三重奏
第2章 アンサンブル
正面には、僕を見て立っているだけの二人。ほのりの顔が、真っ赤だったのを憶えてる。
「…ごちそうさまでした。
これでほのりのファーストキスは、おれのものだな。」
舌なめずりをして、歯を見せた崇臣に
頭が
沸騰、して…
「崇臣ッッ!!」
気づいたら僕ら二人とも、土手の下にいた。
崇臣は草と土まみれで。半袖から伸びた腕に、細かな傷がたくさんついていて。同じような僕の腕が、崇臣の胸ぐらを掴んでいた。仰向けに倒れる崇臣に対して、僕は上から跨っていたのかな。そういえば少し前、自分のチャリがこける音もしていたかも知れない。
「あ、はは…っ…おれの勝ちだな?」
擦り傷付きの端正な顔が、半分歪んで。
でも口元は、下衆に笑ってて。
まともに頭が働く前に、拳が上がった。