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文句言いっこなしの三重奏
第2章 アンサンブル


どこが、“大丈夫”なんだよ?


この時ほのりは、泣いていたんだ。
…転んだ痛みのせいじゃない。叫んだ時にはもう、声は震えていたから。


無理もないよ。あんな乱暴なやり方で、突然奪われて…。ほのりはずっと、夢見ていたのに。


“ちゅーはねぇ、
お嫁さんになってからするものなんだよぉ”


幼稚園の頃。将来の夢は、“およめさん”だと言っていたあの頃から、ずっと。


それに、僕らも…


僕ら二人にも、夢はあった。


いつか…


ほのりと自分が、
ファーストキスをするって…
















恥ずかしくて、口に出して言ったことはなかったけど。それが僕の、子供の頃からの夢だった。崇臣も、きっと同じ夢を持ってると思ってたのに…。
ほのりをお嫁さんにして、初めてのキスをして…そんな幼稚な夢は、もう叶うことがない。


ほのりの夢も、僕の夢も、


全部お前が壊したんだ、崇臣………




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