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文句言いっこなしの三重奏
第2章 アンサンブル
「謝れ……」
──嫌だったろう?
「…っほのりに謝れ!」
──好きでもない奴と、キスなんて!
「……何でだよ?」
「何でって…泣かしてるだろ!
少しはほのりの気持ちも考えろよ!」
泣くくらい嫌だったんだから!謝って済むものじゃないけど、せめて謝罪しろよ!!
…もし。もしもキスの相手が僕だったら。ほのりはどう思っただろう?
もしかして泣かなかったんじゃないか…?
もしかしたら、喜んでくれたのかも…?
「ハハハ…っとに、
何にも分かってないよなぁ、勇祐は……」
崇臣は、馬鹿だなって風にため息をついた。それはあたかも、僕の中のちっぽけな願望すら、見透かしたかのように。
「そりゃ驚いて泣いてるかも知んねーけどさ。ほのりは全然、嫌がってなんかないよ?」
肘をつき半身を起こして、肩にトンと片手を置いてくる。落ち着けよ、現実を受け止めたら?とでも言いたげな口調に、また腹が立って。