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文句言いっこなしの三重奏
第2章 アンサンブル
「本当にごめんな…こんなことになって…」
今さっき、この唇が奪われたばかりなのに。何で僕は、のん気に笑って、繋いだ手にドキドキなんかしてるんだろう。こんなんだからダメなんだ。もっとしっかり…僕がしっかりしていたら、守ってやることもできたかも知れないのに…
「勇くん…」
見上げてくるほのりが、堪らなく可愛い…
いつの間にか泣き止んだ瞳は、まだうっすら潤みがかって、とろ…っとしてて。
見つめるほど心臓がヤバくなる。
「なぁ…ほんとは、やだったろ?」
半開きの唇。淡いピンク色の唇。
指でなぞって、その柔らかさを知りたい。
小さく呼吸するその隙間に、吸いつきたい。
ああ…僕だって、ほのりにキスしたい…
「そんなこと…」
「強がるなよ。崇臣には、後でちゃんと謝らせるから。僕も、殴ったり怒ったりとかしないから。だからちゃんと…ほのりの思ってること、正直に教えてくれ。」
一瞬、また泣きそうに見えたほのりの顔は
よく見れば、
溢れんばかりの笑顔になっていて。
ドキッと跳ねた、僕の心を…
「…大丈夫。
あたしね、崇くんのこと好きだから。」
僕の心を、芯から突き刺した。