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文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲
『…よし!』
『よし』とは、矢が中った際の、周囲からのかけ声。矢を射った本人は、競技規則に則り無言だが、大会や練習の時、周囲が応援をする場合は、こういった矢声(やごえ)をかけたり、または拍手を送ったりする。
『英くん、集中して!』
…ちなみに、今の僕みたいに矢が的に中らなかった場合。特に団体戦では、足を引っ張ることとなる。
一人4射×五人=20射中、中った矢の合計数を他校と競う仕組みだからだ。
『美織〜、そんなピリピリせんとー(笑)』
『岡田くん、喋らない!試合形式だって言ってるでしょ?!自分の射に集中して!』
『ははは、へーい。』
原先輩に思いっきしダメ出しされたのは、部の主将である岡田先輩。団体戦では5番目に弓を引く、落(おち)を担当している。