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文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲
『岡田くんは皆中(かいちゅう)。相変わらずいいわね。』
『ははは、練習で皆中してもな〜。本番で中らなきゃ、何の意味もねーけど。』
通しの団体練が終わった後、結果を振り返る反省会の最中。またも軽い笑みをたたえた岡田先輩を、原先輩が目だけで一喝した。
そんな岡田先輩の出した“皆中”とは、放った矢全てを的に中てることで、つまり、4射中4射的中。しかもこれを4セット行ったので、通算で16射的中だ。普通に、すごい。
『英くんは、今日はあんまりだったわね。何か射形(しゃけい)で気になってることでもある?それともどこか、怪我してるとか?』
『あ、いえ怪我はしていません。ただの力不足です、すみません…』
“あんまり”とオブラートに包んではくれたが…実のところ僕の結果は、“残念”。これは皆中の真逆、一本も中らなかったということ。大会を控えてる人間が、16本も射って残念は、普通にあり得ないレベルだ。