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文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲
『らしくねーよな。大会前で、ちょっとリキんだか?』
『岡田と一緒で、英は個人戦もあるからな。それを考えると、オレらより余計に緊張すんのも分かるよ。』
『でもさ、お前本番には強いタイプだろ?大丈夫だって、どんまいどんまい!』
気を遣って、明るくフォローしてくれるメンバー達。でもその胸中は、決して穏やかではないはずだ。この団体練に入る前、別の練習メニューをこなしていた時も、今日の僕はほとんど中らなかった。それをみんなも、分かっていると思う。
都総体までは、あと三日だ。こんな直前での不調は、自分はおろか、周囲に大きな不安を与えてしまう。同じ団体戦メンバーには、岡田先輩の他にも三年生の先輩がいる。先輩達にとっては、インハイを目指す最後の大会。さらには引退のかかった、大事な大事な大会でもある。僕なんかのせいで、台無しにすることは出来ない。