この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲
『…その顔。英くん、もしかして、また失礼なこと考えてる?』
『えっ?!い、いえ!』
声の裏返った僕に、先輩はふーん?と目を細め…そして小さく息をつくと、立ち上がった。
『まあ…元副将なんて、嫌われてて当然よね。ダメ出しはするし、あーしてこーしてって指示ばっかりで、なんだか偉そうだもんね。』
代々、男子が主将、女子が副将を務めているうちの部において。実は原先輩は、つい先日まで副将だった人だ。
『おまけにほら…主将がアレでしょ?ポジティブっていうか、能天気っていうか。あたしがしっかりしなきゃって、つい口うるさくしちゃって…。でもやっぱり、こんな先輩、みんなにとっては迷惑なだけよね?…さっさと引退すれば良かったかな!』
先週行われた、都総体の予選にあたる大会にて。原先輩を含む女子団体は、代表の座を逃す結果となった。個人で出場権を得たのも、女子は2年生だけで。
つまり…原先輩の高校弓道部としての活動は、既に終わってしまっている。