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文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲


『…その顔。英くん、もしかして、また失礼なこと考えてる?』

『えっ?!い、いえ!』


声の裏返った僕に、先輩はふーん?と目を細め…そして小さく息をつくと、立ち上がった。


『まあ…元副将なんて、嫌われてて当然よね。ダメ出しはするし、あーしてこーしてって指示ばっかりで、なんだか偉そうだもんね。』


代々、男子が主将、女子が副将を務めているうちの部において。実は原先輩は、つい先日まで副将だった人だ。


『おまけにほら…主将がアレでしょ?ポジティブっていうか、能天気っていうか。あたしがしっかりしなきゃって、つい口うるさくしちゃって…。でもやっぱり、こんな先輩、みんなにとっては迷惑なだけよね?…さっさと引退すれば良かったかな!』


先週行われた、都総体の予選にあたる大会にて。原先輩を含む女子団体は、代表の座を逃す結果となった。個人で出場権を得たのも、女子は2年生だけで。
つまり…原先輩の高校弓道部としての活動は、既に終わってしまっている。



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