この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲
『そんな…嫌いとか迷惑だとか思っていませんよ。先輩のことは、みんな尊敬してます。こうして部に残ってくれたこと…僕ら後輩は、すごく感謝しているんです。』
予選大会の後、他の三年生の女子は全員引退した。幹部交代を済ませた原先輩も、本当ならそこで引退するはずだったけど。「都総体が終わるまでは」と唯一人、有志で部に残ってくれた。
形だけの顧問と非常勤の師範しかいないうちの部にとって、それはとてもありがたいことだ。
『…だから、できるだけ長く部にいてもらいたいです。これからも、ビシビシ指導よろしくお願いします。』
社交辞令とかじゃなく、本当にそう思っていることを口にした。正直、練習中の原先輩は厳しくて、苦手な所もあるけれど…それでも、僕らには必要な先輩だ。
僕が頭を下げると、原先輩は少し、意外そうな顔をした。