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文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲
『あ、勇くん!』
いつも通りの待合せ。部室で着替えを済ませ、急いで校門まで走って行くと、そこに二人が立っていた。
『ごめん、遅くなって!結構待った?』
『ううん、大丈…』
『コソコソ女と遊んでんじゃねーよ、勇祐。』
手を振って迎えてくれたほのりとは対照的に。崇臣は開口一番、つっかかって来た。
『何だよ、いきなり…?変なこと言うな。』
僕が返すと、とぼけるなって目を向けてくる。なんだ…また見てたのか。
崇臣は中学の頃、僕と同じ弓道部だった。高校ではどこにも入らず、いわゆる帰宅部だけど。昔の名残か…時々遠くから、弓道部の様子を眺めているらしい。
『ゆ、勇くん、本当に女の人といたの…?』
『え?ああ…部活の先輩とね。帰り際にちょっと、指導してもらってたんだ。』
一瞬、不審げな表情を浮かべていたほのりだが、『…そっか、遅くまでお疲れさま!』と元気に返してくれた。