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文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲
『崇臣、お前さぁ…覗きとかやってないで、ちゃんとまた弓を引いてみろよ?』
崇臣が弓道部を見ていたと知る度、思うことがある。どうして一緒に入部しなかったのか…未だにそれが、謎で仕方ない。
『何言ってんだか…やらねーよ、今さら。』
『何言ってんだはお前だろ、本当は好きなくせに…。そうやって何度も見に来るくらいなら、また始めればいいじゃないか。』
『…ガラじゃねぇっての。勇祐みたくハマってた訳でもねーし、今の自由な方が性に合ってるもんね♪』
冗談めいて流す崇臣だけど、今のは嘘だ。昔…中学の頃、弓道にのめり込んでいたのは、崇臣の方だった。腕前だって学区一。この辺の中学では既に名が知れていて、入学当初はウチの部も、崇臣の入部を切望していた。崇臣自身も、受験前は…「高校行っても、また一緒に弓道やろう」なんて言っていたのに。