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文句言いっこなしの三重奏
第3章 前奏曲
『ところで勇くん、週末の都総体!仕上がりの具合はどんな感じ?』
『え、ああ…うん、どうかな…』
ふとかけられた、タイムリーな話題。忘れかけていた今日の不調が蘇り、思わず詰まる。
『勇くん、今年は団体戦にも出るんだもんね?!すごいなぁ〜!どっちも頑張って欲しいけど、個人戦の方は去年より上位にいけるといいねっ!』
『…う、うん……
まあ……最善を尽くすよ…』
やばい、また胃が痛く…
『おーいほのり、あんまりイジメてやるな?こう見えて勇祐は、お腹に溜め込むタイプなんだからな。』
『…ほえ?お腹?パワーを溜め込むの?』
『ぶふっ…それ、座布団一枚な(笑)』
三人で駅までの道を歩く。僕らの家の最寄駅までは電車一本で約15分。それまでの徒歩と電車の待ち時間を合わせても、学校を出て家まで40分もあれば十分と、比較的恵まれた通学環境にある。
『えー?何何?どうして座布団に座るのぉ?お腹にパワーを溜めて座ると、いいことあるのぉ?』
『くっくっくっ…
おい何とかしろよ、勇祐。腹がいてー。』
『お前なぁ、ほのりで遊ぶなよ…
僕は今、胃が…はは、いて、あははは…!』