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文句言いっこなしの三重奏
第6章 カノン
『それより崇臣くん、勇祐くん。いつもほのりを送ってくれてありがとう。この子ったら、二人に甘えるのがすっかり板についちゃったわね。』
落ち着きを取り戻した彼女はそう言って、ちらりとほのりへ視線をやった。
『そろそろ二人もお年頃でしょう?いつまでも、ほのりのお守りばかりさせてちゃ可哀想よって、よく言ってるんだけど…』
『ちょ、お母さん、何言う気…?!』
『三人一緒じゃなきゃヤダ!勇くん崇くんとは、この先もずっと一緒だもん!離れないもん!って、そればーっかり。まったく高校生にもなって、言うことが小さい頃のままなんだもの。恥ずかしいわよねぇ?』
『ちょっとおぉ、何言ってるのお母さん!』
うふふと得意げに笑うほのりの母親は、いくつになっても綺麗な人だ。自分の親には決して感じない、特有の可愛らしさみたいなものが滲み出るのは…おっとりとした性格のせいか。娘親だからか。それとも或いは、幼さの残る顔のつくりのせいだろうか。
『あはは…お守りだって。確かにほのりは、いつまで経ってもおチビだもんなぁ?』
『そういえば、私服で出歩いてる時…どっちかの妹ですか?って聞かれること、たまにあるよね。』
『それな。おれら保護者かって(笑)』
『もおぉぉ二人まで〜…ひどいよぉっ!』
『ふふ…やっぱり、仲が良いのねぇ。』
謂わゆる、中年のオバさんなんて言い方は似合わない人で。美魔女というほど、作り込んでるわけでもない。単に綺麗に歳を重ねた、って言うのかな…。実際、三人の母親の中では一番歳も若いし、こうやって、僕らとも気さくに話をしてくれる。