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思い出のアルバム
第3章 それは突然に
ガタンゴトンーーーーーー
電車はいつものように走っている。
せっかくのチャンスなのに…
どうしよう…会話…何話せばいいんだろ……
戸惑っていると
「今日友達は一緒じゃないの?」
有り難い事に、先輩から話を振ってもらえた。
「そういえば…由美…居ないです…」
自分の事でいっぱいだったが、確かに由美は乗って来なかった。
きっと、気をきかせてくれたんだろう。
「あれ…先輩も朝一緒の方は?」
「ん?あぁ…あいつは一緒だったり違ったりするから」
確かに一緒に居たり居なかったりだった。
「もしかして、あいつ目当てだったりする?」
「いえ、100%ないです」
思わず即答してしまった。
だって事実だし!!変な誤解されたくないし!!
「ククク…即答…」
その時の笑顔は忘れない。
初めて私に向けられたその笑顔。
普段クールなのに…笑顔はクシャってして可愛いんだ。
「先輩…名前聞いてもいいですか?」
「あぁ、T高3年の須田修司だよ、沙織ちゃん」
先輩の名前が聞けたよりも
先輩の口から自分の名前が出てきて驚く。
「な…んで?」
「毎朝見かけてるから…友達との会話も耳に入っちゃって。ごめんね」
確かに由美声デカいしな。
ただ…今は何でも許せる!!
いつもの15分が、今日は5分に思えるくらいあっという間だった。