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思い出のアルバム
第8章 桜が舞う前に……
狭いシングルベッド……
でもくっついていられるから好き……
「修ちゃん…もし…私より好きな人出来たら………はっきり言ってね」
素直に“寂しい、不安”と言えない私は、そんなひねくれた事しか言えない。
こんな風にしか伝えられない自分が……嫌だ。
「それは、沙織に俺以外に好きな人が出来たら、はっきり言うからって宣言なの?」
天井を真っ直ぐ見上げながら聞かれる。
「いや…私はきっと修ちゃん以外に好きな人は出来ないと思うよ…」
顔を修ちゃんの方へ向けて、はっきり答える。
「じゃぁ何でそうに言うの?本当は…別れたいの?」
急になんて事を言うんだろう。
そんな事、これっぽっちも思ってないのに…
さっきまで何事もなく向き合っていたのに…
修ちゃんの気持ちがわからないのと、なんか惨めになって涙が出てきた……
泣きたくなんか…ないのに……
「私は…別れたいとか……全く思ってない。
ただ…修ちゃんの事、信用してるけど…でも、都内にはキレイな人いっぱい居るだろうから…大学だって、新しい出会いあるだろうし…不安が消えないの……ただそれだけだよ!!」
本当は寂しい。
本当は…不安で仕方ない。
そんなヤキモチだらけな事なんて言いたくなかった。
変に心配させたくなかった。
「沙織・・・」
深い…熱い…口付け……
まるで全てを溶かすような…振り払うような…
愛情たっぷりの……キス……
「だったら素直にそう言ってくれ!!俺は…そんなに頼りないか?」
そんな事ない……
ブンブンと首を横に振る。
「お前が強がりだって、俺に気を使ってるってわかってる。けど、俺の前では素直で居てくれ。素直な気持ちで向き合ってくれよ!!
ずっと……色々我慢してくれてたろ?受験の邪魔しないように、俺に何一つ文句とか言わなかった。俺のために…
でも、ずっと思ってた。少しはワガママ言ってほしいし、頼ってほしい。
寂しいなら寂しいって言えよ…。不安なら不安だって。
俺は本音を出して沙織と向き合いたいんだ…。
お前が本音を出してくれなきゃ…俺も素直に本音を出せないだろ?」
修ちゃんの思いが……胸に響く…。
そうだよね…
良いところだけじゃなくて、悪いところもさらけ出さないと。
全てを……愛してほしい……