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キセイジジツ
第6章 誤解
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ベットがフカフカで気持ち良い。
そんな感覚で目覚めた。
「あっ起きた?」
「うん……」
隣で横になっている健と目が合う。
あれから時間の許す限り体をぶつけ合ったというのに健はそれを感じさせないほど元気そうだ。
「たけちゃん…疲れてないの?」
「うん。悠里が意識を飛ばさなかったらあと2回はイケたかな」
「えぇっ」
「ははっ冗談だよ。俺ももう限界。でも…あと2回とか理想だね」
「こ…こわっ…」
「理想は理想だよ。回数より質でしょ?」
「…質?」
「そう。どれだけ濃厚なセックスが出来たか、その方が大事じゃない?」
緩んだ目元と甘い声。
「ゆうり」
大きな手のひらが頭を撫でる。
「長く繋がってたいよ…」
手のひらが耳たぶ、それから左頬へ移動する。
「俺だけの…ゆうりにしたい」
「っ……」
私は言葉が出ない。
健の瞳が静かに揺れている。
「愛してるよ」
そう言って私を抱きしめる健の体を抱きしめ返す。
恋愛ドラマや漫画ではこういう時に
「時間が止まればいいのに」ってセリフが多いけれど、以前の私はよく意味が分からなかった。
ーーー今なら何となく解る。
見えない未来に不安なんだよね。
「俺のそばにいて」
健は「ずっと」という単語を使わない。
ーーー解ってる。
使えないんじゃなくて使わないんでしょう?
「うん。そばにいるよ」
ーーーだから私も使わない。
ーーーーーーー
「そろそろ悠真のとこ行こうか」
軽くシャワーを浴びて着替えを済ませてゆっくりしていると健が口を開いた。
「そうだね。…もう17時半だし電話してみる」
私が悠真に電話にすると『コーヒー飲んで待ってる』との事だった。
電話を切って健に伝えてからホテルを出る。
車に乗り込むと慣れ親しんだ曲が私の耳をくすぐる。
三●大知さんのアルバムが再生され
曲の中で一番好きな'Drama'が流れ出す。
「前あげたCD持ってる?」
「うん。すごくお気に入り」
健の好みを知りたくて少しでも近付けるように、お願いして焼いてもらったCD。
私の宝物の一つ。
「どの曲が好き?」
「Dramaが一番好き」
「おっ良いねぇ」
ーーー何度も聴いてアナタを想った。
アナタとワタシの現実が'Drama'のようになればいいのにと何度も。
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