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キセイジジツ
第6章 誤解

悠真がいるはずのコーヒー店を目指す。
店内へ入ると多くの客で混雑していて俺は悠真をすぐに見つける事が出来なかった。

「ゆーまー」

でも悠里は一瞬で悠真を見つけ出した。
この時ばかりは『さすが双子だ』と感心した。

「悠里、健兄ちゃん」

悠真が悠里と俺を交互に見て表情を柔らかくする。

「待たせたな、悠真」
「ううん。俺も楽しんだし」

「何してたの?」
「映画二本も見ちゃった」

「二本も?!一人で?」
「いや、それがね……」

そこで言葉を止めて、悠真はなぜか悠里の口元を凝視している。

ーーー何かついてるのか?


「あ…いや。一人で見たよ」
「そっかぁ。何見たの?」

「先に宇宙人のやつで、その後にゾンビの……」

二人の会話を聞きながら俺は何となくホテルにいた時の事を思い出していた。



悠里を愛し続けて何度目かの射精を済ませると俺は倒れ込むように眠りについた。

夢の中の俺は暗闇にいて…
遠くでは何かが光っていて、その方向へ走って行くと光っているのは暗闇の出口なんだと気付く。

やっと暗闇から抜け出ると少し先には…
幼い悠里と小学生位の男の子がいた。

悲しそうな顔をする悠里に男の子が何かを言うと、悠里は弾けるように笑顔になった。
男の子は俺に背を向けて立っていて顔が見えない。

『あの子は誰だ?』

視線を動かすと近くに小学生の真人と中学生の元がいて、悠里と男の子を黙って見つめている。

『真人も元兄ちゃんも何で黙って見てるんだ?』

不思議に思いながらも悠里に視線を戻して、悠里と男の子の会話がギリギリ聞こえる距離まで俺は近付く。

男の子が悠里の頭を撫でる。
『ゆ…り』

男の子の手のひらが悠里の頬に触れる。
『おお……なったら…けっこん……』

『うん!けっこんする!』

悠里が大声でそう言った。

俺も、真人と元も、その場に固まったまま。

悠里と男の子が指切りをしている。

『やくそくだよ』

男の子の穏やかな声がした。

俺はその声が耳に届く前に耳を塞いだ。



「…ちゃ!……たけ……ちゃ……!」
「え…」
「大丈夫?考え事?」

俺の顔をじっと見つめる悠里の顔が目の前にある。

「あ…大丈夫だよ」
「それなら良いけど…」

悠里に笑って見せて安心させる。





またあの夢を見てしまった。

こんな事、悠里には話せない。
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