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キセイジジツ
第1章 帰省

ーーーあれ?今、笑ってくれた…?

台所へ歩いて行く祖母の後ろ姿を見送りながら必死に考えていると元兄ちゃんと目が合った。
笑いながら頷いてくれてる姿に、おばあちゃんが笑ってくれた事を確証した。

この気持ちを早く伝えたい。

「電話してくるね」
声をかけて部屋へ向かいながら
履歴に残る番号を表示させて発信ボタンを押す。
3コール鳴ったところで繋がる。

「ゆーり?」
寝起きっぽい悠真の声が響く。

「うん。寝てた?」
「少しね。着いた?」
「着いたよ」
「どんな?」
「おばあちゃんの笑ったとこ見た」
「まじ?すげー」
「元兄ちゃんの彼女もいるよ」
「あー名前…」
「美咲さんね」
「そんな名前だった?」
「可愛い人だよ」
「ふーん。興味ないけど」
「あっ庭にね、カボチャ出来てた」
「食べれるやつ?」
「分かんない。聞いとく」
「うわ、楽しみ」

この安定感、やっぱり良い。
思わずニヤニヤしていると悠真の笑う声が聞こえた。

「どーしたの?」
「やっぱ、ゆーりだなと思って」
「なにそれ」
「ゆーりの安定感?」
「ゆーまの安定感ね」

考える事は同じ。
まだ数時間しか離れてないのに寂しい。

「そーいえばね、バレてたっぽい」
「何が、誰に?」
「ここに来る事が、まゆちゃんに」
「まじか…」
「今から電話してみるけど」
「あとで連絡して」
「うん。じゃまたね」
「ん。待ってる」

通話が切れた画面を見つめる。
滅多にかける事のない姉の番号を探して覚悟を決めて発信ボタンを押した。
コール音が10回を超えて…諦めて切ろうとしたらやっと繋がった。

「ゆーりっ!?」
私からの電話によほど驚いたのか真悠子は焦ったような声色だった。

「久しぶり、まゆちゃん」
「…元気そうね」
「うん。まゆちゃんは?」
「楽しくやってるよ」
落ち着いてきたようで、いつもの真悠子の話し方になった。

「あのさ……ありがと!」
「何が?」
「元兄ちゃんに連絡…」
「それね。助かった?」
「うん、助かった」
「なら良かった」
フフッと笑う声が聞こえた。

「さすが、まゆちゃん」
「なにそれ」
「褒め言葉」
「姉っぽいでしょ」
「っぽいって…」
「あ、姉だったわ」
珍しく冗談も言ってる。

「まゆちゃん大好き」
「…ありがとう」
静かに電話が切れた。

真悠子からお礼を言われたのも初めてだった。
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