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キセイジジツ
第7章 告白
「真人兄ちゃーん」
真人の部屋に行く前にコーヒーを淹れてカップを持ってきたのだが、襖を叩く事が出来なくて私は声をかけて開けてもらおうとしていた。
「手ぇふさがってるから…」
そこまで言うと襖が簡単に開いた。
「…コーヒーか。悠里ベットに座っていいよ」
私からカップを奪いとってテーブルへ置きながら真人は特等席を譲ってくれる。
「えっ…でもベットは…」
「俺も座るし遠慮するな」
そういう事かと思いながら頷いてベットに腰を下ろすと真人も少し距離を空けて腰を下ろす。
一口コーヒーを啜り、真人は私を見つめた。
「いきなりだが、保育園の頃の記憶はあるか?」
「えっ…保育園の頃?」
予想外の質問に私は戸惑いつつも記憶を辿る。
「うーん……ほとんど覚えてない」
「保育園の頃にこっちの夏祭りに行った事は?」
「夏祭り?えー…行ったっけ?」
「あぁ。悠里は覚えてないみたいだけど5歳の時にこっちに遊びに来て夏祭りも行ったんだよ」
「そうなんだぁ。でもそれが何?」
「その時に結子は11歳くらいの男の子と会ってるんだ。覚えてない?」
「えっ……男の子って……」
「悠真から聞いたよ。男の子と会う夢を見るんだろ?
その夢は現実にあった事なんだよ」
「うそ……」
ーーーえ?何?あの夢が現実って……
じゃ…男の子は実在するの………?
私は言葉が出なくて黙ってしまう。
「男の子は実在してる。でも会ったのは一度きりで誰も顔を覚えてない。分かってるのは今21~22歳くらいだろうって事くらいだな。……確実に言えるのはその男の子は健ではないって事だ」
「っ…!」
「悠里の気持ちくらい分かってるよ」
「なっ?!」
真人は私の頬をつまんできた。
「おひぃひゃん?」
「健…従兄弟とは結婚できるが、俺は反対だ!」
「どおひて?」
「三等親内ではないにしても染色体とか細胞レベルから近いからな。欠陥を補えないんだよ」
やっと頬から指を離してくれる。
「どういう事?」
「んまぁ…簡単に言うと産まれてくる子供は何らかの障害を持ってる確率が高いって言われてるんだよ。確率だから必ずではないけどな」
「そうなんだ…」
「……悠里、お前まさか……」
真人が目を見開いて私を見つめてきて
私の中で何かが鳴り響いた。