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キセイジジツ
第7章 告白
「ホクロは分かったけど、どうやって探せばいいと思う?っていうか、見つかるのかなぁ…」
私が弱気な言葉を漏らすと元は私の目の前に手のひらを差し出して見せる。
「要はこちらの真意を悟らせずに、相手の手のひらを自分へ差し出してもらえばいいんだろ?」
「うん。そうだけどさ……何も言わないで、そんな簡単に手のひらを見せてくれるかな?」
頭の中で疑問符を浮かばせながら尋ねると、元がふっと笑った。
「そんなの簡単だ。たとえ、初対面の相手でもな。ただし、そいつがいいやつってのが前提だけどな」
「いいやつって、いい人って事?」
「そうだ」
元はうなずくが、私には訳が分からない。
「悪い人だとダメなの?」
「あぁ、やなやつだと無理だろーな」
「えぇ?意味分かんないよー」
「じゃ説明してやる」
そう言うと元はポケットへ手を突っ込んだ。
「………という事だ。これなら簡単だろ?」
あまりにも簡単な元の説明に目から鱗状態の私は黙って首を縦に何度も振る。
「いいやつなら大丈夫で、やなやつなら無理って意味も理解出来るよな?」
「うん。確かに……」
「目ぼしいやつを見つけたら実行してみろよ。それでホクロが見つかればラッキーだろ」
「うん!そうする!」
私は胸の前で手を合わせて合掌のポーズをしながら元を見つめる。
「元兄ちゃんありがとう!」
そんな私を見た元は目尻を緩ませると、この場にいない人物の名を出した。
「あぁ、真人にも感謝しろよ」
「…真人兄ちゃん?」
「真人はお前の事を大事に想ってるからな。この話をするのだってかなり気を遣ったはずだ。だからこそ無下にせず、そいつをちゃんと見つけろよ」
「うん…」
ーーー真人兄ちゃん…何となく気づいてたよ。
お兄ちゃんが…話したくないけど話してくれた事。
でも最後まで、話さなくていいよ、なんて私には言えなくて…
私がうつむいていると元の手が頭に触れる。
「お前の気持ちも分かってるよ」
目を細めて微笑む元からは優しさが伝わってくる。
ーーー私の周りは優しい人ばっかり。
ーーー男の子を探すのは楽しみな反面、少し怖い。
その人は私の事なんて、これっぽっちも覚えてなかったら?探す意味はあるの?
それでも、怖いよりも勝る気持ち。
あなたに会ってみたいの。