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キセイジジツ
第7章 告白
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「また真人兄いないの?」
悠真が晩ご飯の準備を手伝いながら口を開く。
「うん。朝から見てない」
「そっかー」
悠真はそこまで真人の事は気にしてないようだ。
真人はここ数日、朝早くに出かけて夜遅くに帰ってくるという行動をしていて祖母宅では食事をとらなかった。
不審に思いながら誰かといっしょだったのかと悠里は尋ねたのだが、真人は曖昧にしか答えず結局何も分からず仕舞いだった。
ーーー真人兄ちゃんも大人だし、あまり詮索するのもよくないかな。変なことはしないだろうし。
そう自分を納得させて過ごしていると長田からメールが入った。
【こんばんは。長田です。
予定なければ、明日の夕方に手伝い頼めますか?】
将来は書道の指導者か現国の教師を目指している悠里にとって、長田からの頼み事はとても魅力的なもので早く手伝いをしたいと思っていた。
ウキウキしながら了承の返信を済ませると再び携帯が震える。
長田さん?と思いながら携帯を扱うとそれは健からの電話。
ーーーたけちゃんだ!
最後に会った日から健は仕事が忙しくなり、連絡もラインがほとんどだった。
電話がきて嬉しく思いながら通話ボタンを押す。
「もしもし!」
「あっ悠里、俺だけど…」
ーーーたけちゃんの声だ…
「どうしたの?」
「明日急に休みになってさ。…会える?」
「うん、会えるよ!…あっでもね……」
長田との約束を思い出して口ごもる。
「ん?やっぱ予定ある?」
「いや…予定は夕方からだから、それまでだったら平気なんだけど…」
「会えるなら夕方までで十分。何時から大丈夫?」
「真人兄ちゃんを明日10時頃見送るから、そのあとなら大丈夫」
「了解。その頃迎え行く。じゃあ…おやすみ」
「うん、おやすみ」
電話が切れて携帯を握りしめながらベットに倒れ込む。
ーーー明日…会えるんだ。たけちゃん…
健の顔を思い浮かべながら目を閉じた。
サラサラの茶髪から覗く焦げ茶色の瞳に見つめられると、私は私でいられなくなる。
捕らわれて逃げられない。
逃げようなんて思わないけれど。
ーーー早く明日になって……
健に早く会って、触れたくて仕方ない。
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