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キセイジジツ
第7章 告白
「いいか、お前達。くれぐれも迷惑かけないように……」
私達が祖母宅へ来て約一週間が経ち、真人だけが一足先に帰る日。
真人はまるで父親のように先程から小言を繰り返している。
「夏休みの終わりくらいに一度家に帰るからお前達もその前に帰ってこいよ。父さんや母さんと皆で食事もしたいし……」
夏休み明けの9月に入ると高校での教育実習を控えてるらしく、その準備の為に大学の寮に戻るみたいだ。
「そもそも課題はやってんのか?遊び過ぎて後回しにして困るのは自分なんだからな……」
もちろん課題は忘れてないし、こっちに来てからも時間がある時に進めている。
「ばあちゃん、またね」
最後に祖母に挨拶を済ませた真人は悠真と悠里を見つめて車に乗り込むと静かに発進させた。
真人の車を最後まで見送っていると、すれ違いに一台の車がこちらへ向かって来た。
白のSUV車ーー健の車だ。
駐車スペースに停めて健が降りてくる。
「あれ、真人もう帰っちゃった?」
「たった今帰ったよ」
「あーやっぱさっきすれ違ったの真人だったか~」
残念そうに顔をしかめる健を見ながら私は口を開く。
「鞄取ってくるね。待ってて」
「あぁ、分かった」
玄関の棚に置いていた鞄を取って戻ると健は車に乗って携帯を触っていた。
私がドアを開けて助手席に乗り込もうとすると健は慌てた様子で携帯をポケットへしまった。
「?…どうかした?」
「いや…何でもないよ。行こうか」
少し笑ってそう言うと健は車を発進させる。
何となく違和感を感じながらも、健に会えた嬉しさでそんな感覚は消えていく。
「悠里。あれ、ちゃんと持ってきたよね?」
しばらく車を走らせていると健がニヤリとしながら尋ねてきた。
「うん…」
「何、恥ずかしい?」
「ちょっと…」
「悠真とは行くつもりだったのに?」
「悠真は弟だし…」
「なるほど…」
健が少し考えるような顔をするが一瞬だけ。
「いや~、すげぇ楽しみ」
顔をほころばせて笑う健を見ながら私はドキドキしていた。
昨日ーー健との電話が終わってゴロゴロしていると、健からラインが届いた。
【明日プール行こ。水着持って来てるって悠真から聞いたよ】
水着を持っている事をすでに知られている状況で断れるはずもなく…
必然的にプールへ行く事になったのだ。