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キセイジジツ
第8章 正夢
教室には折り畳み式の長机が間を空けて二台ずつ並んでいて、それが五列も続いている。
一つの机に3人は座れそうだから単純計算で一度の授業で30人も指導出来るという事だ。
もっとこじんまりとした教室なのかと想像していた私は、想像以上の規模の大きさに目眩を感じてしまった。
後退りしようにも背には長田がいて出来ない。
「最大で30人まで入れるんだけど、30人揃う事はないよ」
私の考えを読んだかのようなタイミングで長田が口を開く。
「今日は2人休むって連絡あって…まぁそれでも22人いるけどね。よろしくね、佐田先生?」
「っ……」
ニッコリと笑顔を見せる長田に私は何も言う事が出来なかった。
ーーー読まれてる…。そんなに顔に出てたかなぁ。
「さてと。準備しましょーか。準備と言っても、座布団を置いたり机を拭いてもらったりで簡単だから、悠里ちゃんに任せていいかな?」
「はい、大丈夫です!」
座布団をしまっている場所や机を拭く為の布巾の場所、お手洗いの横にある勝手口から外に出ると水場がある事を聞いて、先にバケツに水を汲んでいるとーー
突然の雷雨。
大粒の雫が勢いよく地面を打つ。
「ちょっ?!すごっ…!」
焦りながら勝手口まで戻り雨宿りしているとバタバタとこちらへ向かってくる足音が耳に届く。
勢いよく横に引かれた勝手口から長田が飛び出した。
「ゆーりちゃんっ!」
「はいぃっ!」
ビクッとしながら長田へ返事をすると、長田はホッとしたのかため息を吐いた。
「…突然だったね。濡れちゃったでしょ。タオル渡すからついてきて」
「すみません、お願いします」
濡れた髪を手で払っていると長田が私の手首を掴んで歩き出す。
「えっ…あの…」
「風邪引かしたら悪いから」
そう言いながら玄関から左側の廊下へ突入すると、こちらは左右に部屋が二部屋ずつあり、その先に台所や居間、そしてお手洗いと浴室があった。
脱衣場に入った長田はケースの中からフカフカのタオルとバスタオルを取り出して振り返ると、私の首から下を見つめて動きを止めた。
つられて私も自分へ視線を落とす。
そこには雨に濡れて肌にへばりついたワンピース。
胸元から白の下着が透けていた。
「っ…!!」
恥ずかしさから言葉も出ずに腕で胸元を隠すと、大きなバスタオルが肩からかけられた。