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キセイジジツ
第2章 再会

祖母宅から秦家までは車で5分の距離。

髪型とか服装の見た目の準備は完璧に出来ても、心の準備がまだ出来ていない。

ーーーどっどうしよ……
行くって決めたはいいけど話す事とか考えてなかった…


後部座席で揺られながら鏡が付いたコンパクトを開いて顔全体をチェックする。

ーーーファンデーションとリップくらいしかしてないけど…アイメイクした方が良かったかな…

とりあえずもう一度、リップを丁寧に塗る。

ファンデーションは厚塗りは良くないと雑誌で読んだのを思い出してコンパクトをバックへしまう。


悠真に聞いてみた時は何度も褒められたが身内すぎて判断が甘くなるのだろう。

他に誰に意見を求めるか考えて元兄ちゃんの後頭部を見る。

ーーー元兄ちゃんに聞いてみるのは…いや、無駄かな。
女心なんか絶対、理解出来ないだろうし。


頭を抱えたりキョロキョロしたり不審な行動をしただけで5分なんてあっという間に経つ。

秦家の駐車スペースに着いてしまったのだ。
元兄ちゃんがスムーズに駐車する。

「さ、降りようか」

元兄ちゃんに促されて車を降りる。


ーーー待てよ……もしかしたら、まだ帰って来てないかもしれないし!…いや、でもバーベキューするなら今日は仕事休みの確立が高いよね…

良い考えを思いついたと思ったが、もう諦めるしかないんだと深いため息が漏れる。


うつむきがちに歩き始めると急に腕を組まれた。
隣には美咲さん。

「どうしたの?顔が暗いよ?」

本当に心配そうな顔で私を見ていて、美咲さんには嘘つけないなと思いフゥッと息を吐く。

「美咲さん……」
「ん?」

「あの、私、変じゃないですか?」
思いきって聞いてしまった。


美咲さんは目を見開いている。


ドキドキドキドキ…
返事を聞くのが怖い…

「ねぇ、悠里ちゃん」
「はぃ…」

「どういう意味かな?」
「えっ?!」

美咲さんは眉毛を下げて困った顔をしていた。


「どういう意味って…」
「うんうん」

「私の格好とか見た目が変じゃないかなって…」

「あっ、そういう意味ね!なんだぁ~」
普段通りの美咲さんの顔に戻っていた。
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