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キセイジジツ
第8章 正夢

「落ち着いた?」

あれから…泣きながらもケーキを完食させた私は、長田に背中を擦ってもらいながらシクシクと泣き続け、やっと落ち着いてきたところだ。

「はい……」

涙や鼻水でグチャグチャな顔を見られたくなくてタオルで顔を隠したまま返事をする。

「悠里ちゃん、こっち向いてよ」
「…嫌です」
「何で?」
「顔…ひどいと思うので…」

私が小さく呟くと、長田は声を出して笑った。

ーーーこのタイミングで笑う?!

そう思って思わず顔を上げると長田と目が合ってしまった。

「あっ……」

しまったーーと思った時には遅くて。

「確かにグチャグチャだけど…それなら拭き取ればいいだけでしょ?」

ーーーそりゃそうだけど。女心はそんな簡単じゃ…

「俺がいくらでも拭いてあげるよ。必要ならこの胸だって貸してあげるし…試してみる?」

私の顔を覗き込みながら自分の胸を軽く叩き、妖しく微笑む。

ーーー長田さんの雰囲気が…違う。

「いえっ大丈夫ですっ!」

ドキッと高鳴る鼓動に焦りながら隣に座る長田から少し距離を取る。

「そっか。まぁ、必要になったらいつでも言ってね。じゃそろそろ…」

私が距離を取ったのに気づいたのか長田がその距離を埋めるように近づいてきた。

ーーーち、近いよぉ……

「悠里ちゃんが今日会った子だけど、マナって子だと思うよ。健は何も言わなかったの?」

ーーーマナって名前なんだ。

「健兄ちゃんは…元カノって言ってました。でもそれだけで…本当に別れてるんでしょうか」
「別れてるのは確かだよ。それは信じてあげて。でも…マナはそんな感じじゃなかった?」

腕に絡みついて健を見つめていたあの瞳…

「はい。私に見せつけるように腕に絡みついて…」
「そっか。マナは思い込みが激しいタイプって聞いた事あるし健とは別れた気なんてないのかも」
「そんな……」
「その辺は健の詰めが甘かったね」

長田の声のトーンが低くなった。

「で、さっき電話した時にマナの声が電話口から聞こえたんだね」
「そうなんです…」
「うーん、健の事だから一度別れた子と会ったりしないはずなんだけど…もしかしたら何か弱みを握られたか…」
「弱み?」
「二人だけしか知らない事を他の人にバラす!とかね」
「そんな…」
「マナはそういう子なんだよ」

長田が苦い顔をした。
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