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キセイジジツ
第8章 正夢
長田は私の両手が載った自身の膝辺りを凝視して固まった。
「長田さん!?」
「…あぁっ、ごめんごめん」
軽く謝ってくるが私と目を合わせなくなった。
ーーーやっぱ知ってるんだ…!
「恭心さんをご存知なんですね!?」
「あぁ…うん…」
「どんな方なんですか?」
「えっ…どんなって…」
頭を少し掻きながら私に目を合わせてきた。
「悠里ちゃんの目の前にいるんだけど…」
ーーーえっ…それって……
「恭心さんって……長田さんっ?!」
「うん…そうだよー…」
長田は困ったように笑っている。
ーーー何でそんな顔をするんだろ?
恭心さんが長田さんなんて……すごい事なのに!!
……あっ!だからたけちゃんは長田さんの事を'才能ある、すげーやつ'って言ってたんだ!
健の言葉の真意に気づいて私は一人でうなずく。
チラッと長田を見ると頬が赤くなっていた。
「私、嬉しいです!!」
「へ?」
「恭心さんが長田さんで、長田さんが恭心さんでイメージのままで…むしろ長田さん以外に恭心さんは考えられません!」
「ははっ…そう?…ありがとう。でも、悠里ちゃん…一つだけ、いいかな?」
「え?何ですか?」
私がキョトンとした顔を向けると、長田はさらに頬を赤く染めた。
「その…両手を太ももに…しかもその位置に載せられると俺やばいっ…///」
ーーーん?…太ももが…やばい…?
自分の両手へ目を向けると…何という事でしょう。
最初は膝辺りに置いていた私の両手は、興奮した事によって長田の太もも…それも付け根に近い'際どい位置'に移動していたのだ。
「はっ!!すすす、すみませんっ!!」
「いいよって…悠里ちゃんっ!!」
慌てて両手を引いた私は勢いのあまり体勢を崩してソファーから滑り落ちるーーところだった。
後頭部に痛みを覚悟してギュッと目を閉じたけれど、後頭部には違う感覚。
そっと目を開くとーー目の前には長田の顔。
ーーーひぃっ!う、美しい顔が…どアップッ!!
「危ねー…」
熱い吐息が届く距離に私は鼓動が止まらない。
ーーー何これ!?何でこんなにドキドキするの??
「気をつけないと……っ」
切れ長のキレイな瞳が私を捕らえる。
「長田さんっ…」
長いまつ毛がゆっくり上下した。
「私と昔…会ってます?」
長田の眉がピクンッと動いた。