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キセイジジツ
第9章 思惑

「じゃ………だな。こっち………ようだ。少し…………よ。そっちは………から」


ーーー誰かの声がする。これ…誰の声だっけ。

長田の声に最初は気づく事が出来なかった。

それほどに長田の声は低く重い音を出していたから。


意識を取り戻しながらも瞼が重くて目を開けられない。

ーーー私…寝てたんだ。でもこのベットは私のじゃないよね…、それじゃあ誰の……?

記憶を少しずつ辿ろうとして留まる。

ーーー今日はたけちゃんと……たけ、ちゃん!!

目を開いてガバッとベットから起き上がる。

「あっ悠里ちゃん…」

長田に声をかけられるが悠里の意識は思考へと奪われている。

ーーーそうだ。たけちゃんとプール行って元カノと会って長田さんの家に来てたけちゃんから電話があって……

「具合はどう?」

優しさが滲み出てるような温かい声色。

ベットの横で膝をついた長田が眉を下げて顔を覗き込む。

手のひらには携帯電話。

ーーー長田さん……さっきの声は長田さんだったんだ……

「ここでの事……覚えてる?」

遠慮がちな、それでも意思のある問いかけが私を縛る。

「…はい」
「そっか……じゃとりあえず腹ごしらえだね」
「え?」
「もう夜の9時だよ、お腹空いてるでしょ。ここと居間、どっちで食べる?」
「えっと…居間で食べたいです」
「おっけーじゃ行こう」

長田はニッコリ笑うと私の手を引いて歩き出した。

その行動に驚く事も言葉を発する事もしない。

今は何も考えたくなかった。


居間に入ると台所から食欲をそそる匂いがしてきた。

ーーーいい匂い。何の匂いだろ。

「すぐ食べられるから座ってて」

椅子に座ってボーッと長田を目で追う。

ーーー何作ってくれたのかな。

「ふふ…」

エプロンを簡単にひっかけて台所に立つ姿が長田には似合わなくて思わず笑ってしまった。

「ん?」
「あっ…」

振り返った長田がキョトンとした表情で私を見つめてきて焦る。

ーーーしまった、笑うつもりなかったのに。

「少しでも笑えるなら安心したよ」

ーーー確かに。何で私笑えたんだろ…

視線を逸らしてテーブルを見つめているとお椀とレンゲが目の前に置かれた。

いろいろな具材が入った雑炊。

配色のバランスが良く、付け合わせの漬物も美味しそうでまじまじと見つめていると、長田が笑った。
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