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キセイジジツ
第9章 思惑

「それでもそれは一瞬で、それ以上その子に話しかける事はありませんでした。
ここにいるって事はここにいる誰かの知り合いで、あの子ではないからと思ったからです。
正直、恭介は他の女性に興味が持てずに生きてきました。
好意を寄せてくれる女性もいましたが、あの子を忘れられない自分では誰かと共に歩んでいく事など出来ないと思ったのです。

そして友達と映画を観に出かけた先でまたその子と会いました。
その子は自分の友達といっしょにいて、友達はその子を、その子は友達の事を想ってるんだろうなと、感じました。
それと同時に『この子、一度どこかで会ってるかな』という不思議な感覚が自分を誘いますが、それも一時だけで終わったのです。

それからが大変でした。
友達の従姉妹だというその子の事が頭から離れないのです。
『俺にはあの子がいるんだ!』と自分に思い聞かせても、ふとした瞬間に思い出すその子の事。
この気持ちが何なのか分からなくなっていた時に、たまたま映画館で居合わせて趣味の話で意気投合した男の子とまた会う事になりました」

ーーー男の子?

「友達にも話せなかった自分の初恋の話を、たまたま居合わせた顔見知り程度の男の子には話せました。
なぜ話したのか…
それは『きっとこの子も報われない恋をしてるんだろうな』と思ったから。
思った通り、男の子は自分の事のように切ない顔をしながら聞いてくれた。
それだけで十分だと思ったし、男の子とも仲良くしていきたいと思った恭介は、親友である築地という男の経営する喫茶店へと男の子を連れて行きます。
その行動が自分の運命を変えるとも知らずに…

そして男の子は話始めます。
自分なら恭介の役に立てる、と。
最初は訳が分からなかった恭介も話が進むにつれて胸の鼓動を止められません。
まさか…こんな事があるのかと信じられない気持ちもありました。
しかし男の子の顔は真剣だし、恭介を思いやる純粋な気持ちが伝わってくるようでした。
そして男の子の笑った顔に…あの子の顔が重なって見えたのです」

ーーーその男の子ってまさか…

「その男の子は名前を悠真と言い、あの子の弟なんだと教えてくれました」

「それじゃ…やっぱり…」と声が震える私に長田はふっと微笑む。

「そう。あの子は、佐田悠里ちゃんなんだと知る事が出来ました。
とても驚いたよ…悠里ちゃん」
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